待遇とキツさ
※私の実体験に則り記述していますが、すべての方に当てはまるわけではありません。
待遇
- 給料
多くの林業事業体では日給月給制が取られています。例えば日給が1万円の場合、1万円×稼働日=給料となります。手当やボーナスは事業体により色々で、ボーナスは夏と冬あわせて2ヶ月あればいい方でしょう。給料に関しては入社前に調べた時、経験無し日給8000円スタートが多かったように思います。月給制の事業体は滅多にありませんが森林組合の職員は月給制であるという話はチラホラ耳にします。
また、社会保険完備のところが多くなってきましたが、未だに無いところもありますので転職の際は要確認です。
- 休日
林業は屋外作業で天候に左右されるため、大雨のときは仕事が休みになる場合が多く、仕事中でも雷が鳴ると中止になります。また、基本的に土曜日は仕事を行い、祝日も仕事を行う事業体が多いです。休日は日曜日だけで連休はあまりありません。
しかし、森林組合の職員は異なるようでカレンダー通りの土日祝日休みがある所が多いです。しかし、雨が降ろうと雪が降ろうと余程のことが無い限り平日は仕事が休みにならないようです。
私のところ(組合ではない)はそれでもひと月あたりの稼働日を年間で平均すると22日ほどです。
キツさ
私の場合、仕事をして精神的にキツイと感じることはなく、前職よりストレスは減ったと断言できます。しかし、体力的にはだいぶキツイです。チェーンソーは大体5キロありますし、それに加えて燃料とオイルも持ち歩かないといけません。その上で、傾斜がついた足場の悪い山道を歩き回るのです。どうでしょう想像できますか?夏場は暑く汗まみれ、冬場は寒く指先つま先は感覚が無くなることもあります。
1〜2年みっちりすれば体力的な部分は慣れますけどね。離職理由で体力的なキツさを挙げるヒトは多いようです。
言いたいこと
はっきり言って、待遇と仕事の過酷さとの釣り合いは今現在取れていないように感じています。これだけ体力的にキツくて危険なのに給料はこれだけかよと。しかし、林業は技術職の面を持つため自分次第で給料をより多くする事は可能だと分かってきました。また、技術があり体力的に元気ならば何歳まで年を取っても仕事をする事は可能です。
社会的には非常に重要な仕事である事は間違いありません。やりがいは物凄くありますし、自然の中で仕事をしたい、身体を動かすことが好きな人には向いている仕事でしょう。
林業に決めた理由
このブログは林業に興味を持った人に向けて、実際はこんな感じですよ〜と少しでもイメージできるようにしたいと思いながら書いています。
林業に思い至った経緯
私は大学卒業後、地方の中小企業に就職し数年働いた後、林業に転職しました。
唐突に決めた訳ではなく、大学時代は森林関係の学科に在籍し興味はもっていました。ただ、大学で学ぶと逆にこの世界で働きたくないなと思うようになってしまいました。3Kだし、給料は安いし、何より業界が古いままという印象を持ったからです。
卒業までその思いをもったまま、全く森林とは関係のない地方メーカーに就職しました。そこは給料はまあまあ、人間関係が少し面倒な部分ありというところ。嫌いではないが、好きかと言われればそうでない会社で、自分にも問題がありますが惰性で働いていました。
ただ、モヤモヤ働いていた数年間頭の中から離れないものがありました。それが林業でした。林業を取り巻く状況を改めて見てみると、学生時代にネガティヴに見えていたものがポジティブに見れるようになったんです。深刻な担い手不足の問題を見て、「ならば、自分がやろう」と。また、林業は職人のようなイメージがあったのでそれなら年齢的に早い方がいいと感じ、当時の会社を退職しました。
転職まで
その後、各県で行われる林業ガイダンスに足を運び事業体の人たちと直接話をして自分が働きたいと思う事業体を探しました。
いくつかの県のガイダンスに参加した後、ここで働きたいと思える事業体があり、その場で会社訪問のアポイントをとり後日訪問。それから面接試験を経て合格をいただきました。その後入社し、今に至ります。
今思うことは早々に転職してよかったということです。もっと早くてもよかったかもしれません。自分が納得できる選択をすることが重要ではないかと感じています。
まず林業って何をするの?
※最初に言っておかなければならないことがあります。記述するのは実体験ですが、これが皆当てはまるとは限らないということです。林業は地方、地域、また事業体によって仕事内容が異なるからです。なので参考程度で
①木を伐る
②木を集める(集材)
③材をつくる(造材)
④材を搬出する
⑤番外編
地拵え、下刈り、枝打ち
主にこれぐらいに大別されると思います。順番に説明していきます
①木を伐る
最も技術が必要な作業です。 重機で伐る場合もありますが、チェーンソーで木を伐るのが主流です。立木の枝のつき方、傾きなどから重心を見極め、伐倒方向へ倒します。
チェーンソーは5キロ程あります。最初は重く感じますが、慣れれば問題ありません。
②木を集める(集材)
この後の造材作業を行う為、重機の届く範囲に伐倒木を集めなければなりません。重機に装備してあるウインチのワイヤーを伐倒木まで持って行き、括りつけて引き寄せを行います。
中々体力的にキツイ作業かつ巧さが要求される作業です。本当にキツイので真夏は本当にしたくない作業のひとつです。
③材をつくる(造材)
伐倒木の枝を払い玉切りし、材をつくります。材はいわゆる丸太の状態のことですね。材の長さは主に2m、3m、4m、5m、6mなどがあり木材市場の需要、製材所の要望などにより切り分けられます。1本の木からどれだけ無駄なく採材できるかがポイントになってきます。
④材を搬出する
切り分けた材を土場へ運ぶ作業です。土場とは丸太の集積所のことで、その土場からトラックで木材市場や製材所へ運びます。土場まで運ぶには、主にフォーワーダという運搬機械(例 フォワーダ | イワフジ工業株式会社)を使用します。
木材市場や製材所などへ運ばれて初めて木材はお金に変わります。
⑤番外編
地拵え、下刈り、枝打ち
下刈りは、植え付けた苗木の成長を阻害する周辺の雑木や草を刈って取り除くこと。苗木に日光が当たるようにします。
枝打ちは枝を幹の付け根から除去する作業のことです。若い時から行うことで、板にしたとき節が無い「無節」の板ができ、一般的に優良材とされます。
以上おおまかな説明でした。
番外編は自分達の場合、本当に時々しか行わない作業です。
難しいですが、大体のイメージができればと思いできるだけ丁寧に記述しました。また、作業システムにより大きく変わるためこの限りではありません。