林業就職記@西日本

実体験を元に、林業について

林業の良くないところ

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さて、四月。新しい季節になりました。ですが、林業の良くないところを書きたいと思います。


事故、怪我が多い

まず、これ事故率12倍! 新規参入に立ちふさがる「危険な林業」(田中淳夫) - 個人 - Yahoo!ニュース を読んでもらいたいと思います。森林ジャーナリストの田中淳夫さんの記事です。彼の記事は業界の現状を知るにはとても有効だと思うので、時間のある方はバックナンバーも是非読んでみてください。

なぜ事故が多いのか? 以前の研修で事故の多くは伐木、集材の時に起こるようです。要は木の動きを予測して危険を排除できるかどうかではないかと思います。私もまだまだですが、一つの作業を行う前に、この作業を行った時に木がどのように動くかを予測し危険を予防しなければなりませんが、その危険に気づけるかどうかが大事な部分です、しかし新人の時はこの予測が難しいのです。なぜなら知識と経験が無いから。ですから安全教育をしっかり行う事業体でないと後々エライ目にあうでしょう。

実は、林業の死亡事故で亡くなった人の年齢を見ると高齢、経験年数もベテランと言っていいような人が多いのですが、なぜなのでしょうか? 個人的な予想としてはやはり最初から安全教育をしているかどうかだと思います。危ない作業の仕方をしていたが、若い時はまだ俊敏で事故に遭わずに済んだけども高齢になり身体が衰えて動きが遅くなって、、、と勝手に予想しています。

私自身もチェーンソーで脚を切ったことがあります。原因を考えてみると、予防を怠ったことと気の緩みの二つがあったと思います。その怪我以来、更に気をつけるようになりました。

キツイ、汚れる

体力的なきつさと泥や土にまみれて仕事をするので汚れます。林業について知っているならば、別に大きな問題ではありませんね。ただ、できるならキツくない方がいいですし、汚れたくもないです。キツさは仕事をすることで省力化をできますし、体力的な慣れもあります。

給料が低い

キツさに対して給料は低いと感じますが、自分が給料分の価値を生み出しているかと言われれば何とも言い難いです。ただ、家族を持つ方が転職する上で入り口の部分で躓くのではないかと思ってしまいます。一方で、私もそうなのですが転職組は給料が理由で林業の世界に入ってくる訳ではないようにも感じています。しかし、実際入社するとやはり欲はでてきますね

情報が少ない

ネット上に情報があまりにも少ない。サイト自体を持っている事業体も少ないです。少数ですが情報発信を行っている事業体には林業に興味がある別業界の会社から問い合わせがあると耳にします。就職を考える人にとってもサイトがあった方が親近感が湧きますね。
このブログも林業のリアルを伝えていければと思って始めました。

魅力的な事業体が少ない

林業に限りませんがここで仕事をしたいと思える事業体が少ないです。ガイダンスに行って話を聞いて感じたことですが、どこで話をしても同じ内容で自社が力を入れていることや特徴を聞いてもこれといって出てこない。確かに仕事の内容で差異を出すことは難しいのでしょうが、姿勢が見られないことは残念でした。数は非常に少ない印象ですが、しっかりと理念を持って施業をしておりトップがそれを親身に説明してくれる、新しい試みに取り組んでいる事業体には人だかりができておりそういうところに人は集まってくるんだなと感じました。


次回は実際に就職するまでについて書きます







林業のいいところ

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自分の経験をもとに書いてみます


いいところ

  1. 自然の中で仕事ができる
  2. 身体が引き締まる
  3. 定時上がりが普通
  4. 技術があれば定年なし
  5. 社会的役割の大きさとやりがい
  6. 仕事の結果が目に見える

 1. 自然の中で仕事ができる

仕事現場が山の中なので空気がおいしく開放感があるので、清々しい気持ちで仕事に取り組むことができるように思います。野生の動物たち(シカ、イノシシなど)も目にすることができます。標高の高い現場から見ることができる景色は山で働く特権だと感じます。とてもキレイで、たまに雲海も見ることができます。四季を感じる仕事です。

 2.身体が引き締まる

林業は体力が必要な仕事(力はそれほど必要ではない)です。5kgはあるチェーンソーと共に燃料、オイルは最低限必要なものです。更にクサビ・ヨキも伐倒の際に必須の道具です。それらを大体持った状態で斜面のキツイ、土質の悪い道を歩いて移動します。これらを繰り返し必死について行くうちに自然と筋肉がついて身体全体が締まってきます。自分は脂肪が減り筋肉が増えました。初めはとてもキツイですが、慣れたらなんのことはありません。夏場は汗ダラダラが普通のことですが。。。  ※重機オペレーターは別ものです
ちなみに所属している事業体にメタボの方は1人もいませんし、入社の時はポッチャリしていても仕事を続けていくと段々と痩せていきます(先輩で10kg以上痩せた方もいました)

 3.定時上がりが普通

残業がほぼありません。キリが悪い時は少しやる場合がありますがそれでも10-20分程度です。ちなみにウチは17:00に現場仕事終わり、その後片付け・着替え等をして帰社が(現場の場所にもよりますが)17:30頃です。
しかし、国有林など国、県、市町村が絡んだ仕事は期限があるのでこちらは切羽詰まると残業は多少あるかもしれません。

 4.技術があれば定年なし

林業は技術的な面がかなりあり、逆に言えば技術が無ければいつまで経っても一人前にはなれません。技術を自分のものにすれば身体が続くうちは仕事を続けることが可能です。体力は歳をとると衰えますが、技術は磨かれてそれをカバーしてくれます。

 5.社会的役割の大きさとやりがい

本の森の多くを占める人工林は人の手を入れて人の手によって管理していかなければなりませんが、一般的には知られていません。木を切ること自体が悪いと思っている方もいます。
川に流れる水はもとを辿ると大抵山奥が源流なんですが、その水は森を健全な状態に保つことにより守られています。大河を構成する支流のひとつかもしれませんが、流域の人々の生活を支えているという誇りを持って仕事をしていますし、やりがいを感じます。

 6.仕事の結果が目に見える

私のいる事業体では主に間伐作業を行っています。間伐とは間(あいだ)を伐(き)ると書きますが、所謂間引きです。糖度の高いメロンを作るために間引くことと同じで良材を作るために木を間引きます。良材とはまっすぐで目の詰まった完満で節のない色味の良いものをそう言いますが、間伐で全てが叶うわけではありません。周辺の木と比べ生長が負けていない、比較的真っ直ぐに立っているものを残していきます。そうやって木を間引いていくと、間引く前の真っ暗な森から林床に光が届くようになり明らかに森内が明るくなります。明るくなった森を見て、我ながらいい森になったなあと思うわけです。現場に来た時と去る時は本当に森が見違えるようになるんです!


以上、いいところを挙げましたがいかがでしたか。いいねと思う方がいれば嬉しく思います。次回は悪いところを書こうと思います


待遇とキツさ


※私の実体験に則り記述していますが、すべての方に当てはまるわけではありません。

待遇

  • 給料
多くの林業事業体では日給月給制が取られています。例えば日給が1万円の場合、1万円×稼働日=給料となります。手当やボーナスは事業体により色々で、ボーナスは夏と冬あわせて2ヶ月あればいい方でしょう。給料に関しては入社前に調べた時、経験無し日給8000円スタートが多かったように思います。月給制の事業体は滅多にありませんが森林組合の職員は月給制であるという話はチラホラ耳にします。
また、社会保険完備のところが多くなってきましたが、未だに無いところもありますので転職の際は要確認です。

  • 休日
林業は屋外作業で天候に左右されるため、大雨のときは仕事が休みになる場合が多く、仕事中でも雷が鳴ると中止になります。また、基本的に土曜日は仕事を行い、祝日も仕事を行う事業体が多いです。休日は日曜日だけで連休はあまりありません。
しかし、森林組合の職員は異なるようでカレンダー通りの土日祝日休みがある所が多いです。しかし、雨が降ろうと雪が降ろうと余程のことが無い限り平日は仕事が休みにならないようです。
私のところ(組合ではない)はそれでもひと月あたりの稼働日を年間で平均すると22日ほどです。

キツさ

私の場合、仕事をして精神的にキツイと感じることはなく、前職よりストレスは減ったと断言できます。しかし、体力的にはだいぶキツイです。チェーンソーは大体5キロありますし、それに加えて燃料とオイルも持ち歩かないといけません。その上で、傾斜がついた足場の悪い山道を歩き回るのです。どうでしょう想像できますか?夏場は暑く汗まみれ、冬場は寒く指先つま先は感覚が無くなることもあります。
1〜2年みっちりすれば体力的な部分は慣れますけどね。離職理由で体力的なキツさを挙げるヒトは多いようです。

言いたいこと

はっきり言って、待遇と仕事の過酷さとの釣り合いは今現在取れていないように感じています。これだけ体力的にキツくて危険なのに給料はこれだけかよと。しかし、林業は技術職の面を持つため自分次第で給料をより多くする事は可能だと分かってきました。また、技術があり体力的に元気ならば何歳まで年を取っても仕事をする事は可能です。
社会的には非常に重要な仕事である事は間違いありません。やりがいは物凄くありますし、自然の中で仕事をしたい、身体を動かすことが好きな人には向いている仕事でしょう。

林業に決めた理由

このブログは林業に興味を持った人に向けて、実際はこんな感じですよ〜と少しでもイメージできるようにしたいと思いながら書いています。

林業に思い至った経緯

私は大学卒業後、地方の中小企業に就職し数年働いた後、林業に転職しました。
唐突に決めた訳ではなく、大学時代は森林関係の学科に在籍し興味はもっていました。ただ、大学で学ぶと逆にこの世界で働きたくないなと思うようになってしまいました。3Kだし、給料は安いし、何より業界が古いままという印象を持ったからです。
卒業までその思いをもったまま、全く森林とは関係のない地方メーカーに就職しました。そこは給料はまあまあ、人間関係が少し面倒な部分ありというところ。嫌いではないが、好きかと言われればそうでない会社で、自分にも問題がありますが惰性で働いていました。
ただ、モヤモヤ働いていた数年間頭の中から離れないものがありました。それが林業でした。林業を取り巻く状況を改めて見てみると、学生時代にネガティヴに見えていたものがポジティブに見れるようになったんです。深刻な担い手不足の問題を見て、「ならば、自分がやろう」と。また、林業は職人のようなイメージがあったのでそれなら年齢的に早い方がいいと感じ、当時の会社を退職しました。

転職まで

その後、各県で行われる林業ガイダンスに足を運び事業体の人たちと直接話をして自分が働きたいと思う事業体を探しました。

いくつかの県のガイダンスに参加した後、ここで働きたいと思える事業体があり、その場で会社訪問のアポイントをとり後日訪問。それから面接試験を経て合格をいただきました。その後入社し、今に至ります。



今思うことは早々に転職してよかったということです。もっと早くてもよかったかもしれません。自分が納得できる選択をすることが重要ではないかと感じています。


まず林業って何をするの?

※最初に言っておかなければならないことがあります。記述するのは実体験ですが、これが皆当てはまるとは限らないということです。林業は地方、地域、また事業体によって仕事内容が異なるからです。なので参考程度で

 
では、林業での仕事内容(主に間伐、皆伐の場合)について

 

①木を伐る

②木を集める(集材)

③材をつくる(造材)

④材を搬出する

 

⑤番外編

地拵え、下刈り、枝打ち

 
主にこれぐらいに大別されると思います。順番に説明していきます
 

①木を伐る

最も技術が必要な作業です。 重機で伐る場合もありますが、チェーンソーで木を伐るのが主流です。立木の枝のつき方、傾きなどから重心を見極め、伐倒方向へ倒します。
チェーンソーは5キロ程あります。最初は重く感じますが、慣れれば問題ありません。
 

②木を集める(集材)

 この後の造材作業を行う為、重機の届く範囲に伐倒木を集めなければなりません。重機に装備してあるウインチのワイヤーを伐倒木まで持って行き、括りつけて引き寄せを行います。
中々体力的にキツイ作業かつ巧さが要求される作業です。本当にキツイので真夏は本当にしたくない作業のひとつです。
 

③材をつくる(造材)

伐倒木の枝を払い玉切りし、材をつくります。材はいわゆる丸太の状態のことですね。材の長さは主に2m、3m、4m、5m、6mなどがあり木材市場の需要、製材所の要望などにより切り分けられます。1本の木からどれだけ無駄なく採材できるかがポイントになってきます。
 

④材を搬出する

切り分けた材を土場へ運ぶ作業です。土場とは丸太の集積所のことで、その土場からトラックで木材市場や製材所へ運びます。土場まで運ぶには、主にフォーワーダという運搬機械(例 フォワーダ | イワフジ工業株式会社)を使用します。

木材市場や製材所などへ運ばれて初めて木材はお金に変わります。
 

⑤番外編

地拵え、下刈り、枝打ち

 
地拵えとは皆伐した林地に再造林する際、植え付けた苗木が生育しやすいように地面をキレイにすること。雑木や枯葉などを取り除き地面に陽が当たるようにすることですね。なんといまどき鎌を使って行うんですよ。
下刈りは、植え付けた苗木の成長を阻害する周辺の雑木や草を刈って取り除くこと。苗木に日光が当たるようにします。
枝打ちは枝を幹の付け根から除去する作業のことです。若い時から行うことで、板にしたとき節が無い「無節」の板ができ、一般的に優良材とされます。
 
 
以上おおまかな説明でした。
番外編は自分達の場合、本当に時々しか行わない作業です。
難しいですが、大体のイメージができればと思いできるだけ丁寧に記述しました。また、作業システムにより大きく変わるためこの限りではありません。
 
 
 

 

スタート&自己紹介

今日から林業ブログ始めます!

自分の体験をもとに林業に関する様々なことを書いていこうと思います。また、これから林業しようかなと考えている人にもイメージしやすく、わかりやすいように努めていきます。


まずは自己紹介

大学卒業後、化学系メーカーに就職。5年勤務した後、林業事業体へと転職。今年で4年目、現場にて悪戦苦闘真っ盛りの若僧です。

宜しくお願いします