あなたが求めるものと注意すること
ガイダンスに先日行ってまいりました。
あるブースで耳にしたことなのですが、その社長曰く「荒れた森に手を入れ森を守り、地域に必要な会社になりたい」、「山主さんに施業を任せてよかったと言われる事業体を目指す」「環境負荷を最小限に抑える」等々おっしゃることは大変立派で感銘を受けました。
ほおーと思い、労働条件・待遇を見てみると¥7500~の日給制で上がっても¥10000位とのこと。また、決まった賞与は無く出来高(要は利益がでたら)によって支払われるとのこと。加入保険は労災・雇用・林退共(退職金)のみ。作業服やソーチェーンなどの消耗品は自己負担とのこと(チェーンソーは勿論自己調達)
私の熱が一気に冷めたのはいうまでもありません。
私がそのブースを去った後でも、そのブースには常に人がいて多くの方々が熱心に耳を傾けていました。。。
もし私が若くて修行のつもりだったら入っていたかもしれませんが、今の私には到底入りたいとは思えません。
林業に求めるものは人によって異なると思います。待遇は問わないという方もいますが、実際に従事してみて「こんなはずじゃなかった」とならないように気をつけてください。何度も言いますが、林業は体力的に非常に厳しいですし、冬は極寒、夏は熱中症との戦いです。それに見合った給料か…
前述の社長さんのところに集まるのは多くが移住者のようです。もちろん林業をするのは初めての方ばかりの様子。うーん、皆さん幸せなのだろうか。
一日のスケジュール 例
随分寒くなってきましたね。北海道では雪が降ったとか。。
例として私のおおよその一日のスケジュールを書いてみます。皆さんの参考になればと思います。
一日のスケジュール (例)
6:30 起床
7:00 家を出る
7:10 会社到着
7:30 現場に向けて出発
7:50 現場到着
8:15 ミーティングの後、作業開始
(作業中は状況に応じてその都度休憩を取ります)
12:00 お昼休憩
13:10 作業開始
16:50 作業終了、翌日の準備
17:10 現場出発
17:30 会社到着
17:50 日報記入、連絡事項確認後 会社を出る
18:00 帰宅
ざっとこういった感じです。
うちの会社の場合、作業現場が会社からほぼ30分以内なので早朝出勤などはありません。会社によっては1時間以上かけて行く現場もあるようです、その場合は早朝出勤、17:00まで作業をした後会社へ帰るので帰りが遅くなるようです。その場合の手当や残業代などは多くの事業体で考慮されていないと思います。少なくとも私は耳にしたことはありません。また、作業現場の場所によって多少の時間のズレはありますがおおよそこのような感じです。
林業は太陽が落ちると作業ができませんので、遅くまでの残業は考えにくいです。重機の前照灯をつけて作業するにしても限界があります。しかし、現場に期限があり、進捗が大幅に遅れている場合は多少の作業時間の増加はあると思います。
帰宅後、お風呂に入って19:00から夕食を食べてあとはゆっくりと。
18:00には自宅に帰って来れるので外出もできますね。
一日の流れとしてイメージしてもらえればと思います。
yahoo!ニュースをみて
皆さまお久りぶりです。気温も落ち着いてきてだいぶ仕事を行いやすい季節になってきましたね。
さて、今日は田中淳夫氏の以下の記事について感じたことを書いていきます。
正直、この記事を見た知人からこれはホントの話? と連絡が来るぐらいの影響がありました。そして、彼には田中氏の記事は信頼できることと、業界の事情にはかなり詳しいであろうことを伝えました。
一方で、林業のイメージを祭り上げるメディアの姿勢への警鐘と、林業の業界に対し目先だけの利益にとらわれず長期的な視点を持つことの重要性、従業員の待遇・山元の利益に対しての問題提起。そして何よりそうした現状を打破してほしい、そういった思いを私は感じました。
恐らく記事中の内容は真実でしょうが全国の地域すべてに当てはまるとは限りません。林業用機械は高額です、数千万はザラでしょう。だから、稼働率をあげなければならないのは当たり前ですが、肝心の伐る森林がなくなってきたという状況は私の周辺にはありません。市や県の再造林補助が手厚いからという恵まれた地域だからかもしれません。
事故率の高さはその通りで、転職を考えている方には事前に知る必要があると考えています。また、労災を嫌がるのは保険料の増加や事故によって役所や県森連などに目をつけられ仕事に支障が出ることを恐れているからだと思います。だけど、こんなことをやっていては結局その場しのぎでしかなく、いつまで経っても状況は改善しないと思うのですがそういうことを未だに行っているのが林業なのです。
また、待遇もおおむねその通りですが、微々たる昇給はあるが有休はない所が私の周辺では多い印象です。ちなみに私のいるところは昇給も有休もありますが未だに日給月給制です。
かと言って、前述したような事業体ばかりでなく現状を打破しようと頑張っている事業体ももちろんあります。そういった事業体は様々な媒体にピックアップされる可能性が高く、広くアンテナを張る必要があると思います。
林業が「成長産業」になるかは上記の辺りを改善しない限り、厳しい状況であることは間違いないでしょう。
動画でイメージを
いい動画がありましたので紹介します。
現場の風景もこんな感じです。皆さんの頭にイメージ出来たらと思います。
私が考える事業体の判断基準として
年が明けましたね、今年もよろしくお願いします。
さて、近々ガイダンスも始まります。様々な事業体がありますが、事業体を判断するうえで重要だと感じた基準について書こうと思います。
大きく分けて、3つあると感じます。
- 人間
- 待遇
- 環境
- 人間
そこで働く人たちはどういう人たちか? 積極的か消極的か、固執せず柔軟な考えを持っているか、会社の理念・社長の考えはどうか、自分自身の考えとは合うか、仕事のやり方はどうかなど・・・
ガイダンスのブースにいる人で、部長以上のクラスがいたら現場経験も含めて仕事についての考えをきいてみるといいかもしれません。どういった理念のもと森林施業を行なっているのか? 自分自身はこのような考えだがどのように感じるか?林業は危険な仕事だと感じるがそれについてどう思うか?これからの将来に向けての事業計画は? 向こうの考えをきいてあなた自身が納得できるか。 いいなと思ったら名刺をもらいましょう。
- 待遇
初任給はいくらか、 社会保険はあるか、 手当てはあるのか、 昇給はどれくらいか、 賞与はあるのか、日給制それとも月給制か、休日はどれぐらいあるかなど。
待遇は結構あやふやな事業体が多いです。しかし、家族がいらっしゃる方なら尚更お金のことは大事ですので、尋ねてみて向こうがムカっとしてたらそこはやめた方がいいでしょう。真摯に対応してくれる事業体が信頼できます。また、小規模な事業体は全部社長が決めている場合も多いので、そこは社長の匙加減次第ですね。これは前項の人間に繋がります、その社長の下で働きたいか。また、入社前にきいていた待遇と入社後の実際の待遇が異なったという情報も・・・そこは要確認です。
- 環境
【気候】林業は屋外でする仕事なので夏は暑く、冬は寒いです。夏場はどれぐらい暑いか、雪はどれぐらい降るか、雨は多いか
【事業体】高性能林業機械は所有しているか、 自分がこの事業体で技術を身につけたいと思う技術レベルがあるか、作業員の年齢構成・経験年数はどれぐらいか、作業道具の購入は自腹か
【日常】 住宅は付近にあるか、 スーパー・コンビニ・ホームセンターは付近にあるか、飲み屋は?
未経験で入る時は、現場で基礎をしっかりと叩き込むことがとても重要だと思います。そしてそれは現場作業員の質・技術に直結しています。それがテキトーな所だとケガをしますし、治るならいいのですが治らないケガもありますから注意しなければなりません。
ざっと書き出してみました。自分が望む条件を全て満たす事業体は恐らく無いと思うので、自分が大事にしていることを順位づけしてから臨むと良いかと思います。
林業と労働災害。今必要なこと
今日は労働災害について話そうと思います。
林業と労働災害
林業に従事していると労働災害の話しを耳にします。誰々が怪我をした、何処の事業体で重大事故が起こったなど。それだけ労働災害が身近にある業種なんです。私が知っている身近な人でも、足を切った、足を複雑骨折した、指先が切断された人などを実際に知っています。
ではどれだけ労働災害の発生が多いのかを他業種と比較して見ていただきましょう。 以下引用です
足場の悪い山の中で伐採木等重量物を取り扱う林業の労働災害の発生率は、災害の発生度合を表す「千人率」で他産業と比べると、全産業の中で最も高くなっています。平成25年
全産業 2.3
林業 28.7
鉱業 12.0
建設業 5.0
製造業 2.8
木材製造業 11.4資料:「産業別死傷年千人率」(厚生労働省)
林野庁のサイトより引用。労働災害の死傷年千人率 平成25年度だけを抜き出してみました。リンク先には他の年度のデータ、発生状況、死傷者数などの記載もあります。
素人目からも危険と分かる鉱業の約2.4倍です。これにはビックリしました。
事業体で働いていると、同じ市内・県内で発生した重大事故はすぐに連絡が入ります。被災状況が細かく記された用紙がファックスで関係機関より送られてきます。メールで写真付きのものが来る場合もあります。また、必ずと言っていいほど、安全作業の喚起を促す文言がいれてあります。それを見るたびに、アホかと思ってしまうんです。それで事故が防ぐことができたら誰も苦労しないのに。
労災を防ぐために必要なこととは
最近の死亡事故を見て簡潔に述べたいと思います。それは、指導員の質を上げることです。何が危険で、どうすれば安全に作業をすることができるのかを指導員自身が分かっていないのではないかと感じる事があります。指導員の質の低下が事故の根底にあるように感じるんです。
改善するには様々な現場経験と、地道な安全教育ではないかと個人的には考えています。新規就業者は勿論ですが中堅やベテランといった方にこそ安全教育が必要なのかもしれません。近道はありませんが地道な行動できっと変えることができると私は考えています。
私が林業に就職するまで
だいぶ間が空いてしまいましたが、元気に林業しております。最近は作業がしやすい気温になってきましたね。
さて、今回は私が実際に林業に就職するまでについて経験を元に書いて行きたいと思います。これから就職・転職を考えている方に役立てることができればと思っています。
私が林業に転職するまで
私は前職はメーカーでの営業職でしたが、辞めてから本気で林業事業体を探し始めました。ではどうやって探して、実際に就職したのか。
私は1〜3まで順番に行っていきました。
- ネット、ハローワークで情報収集
ネット上に林業関係者のブログもちょこちょこ見るようになりましたね、私もその一人ですが。ただ、あまり数が多くはないのと、匿名でやっている場合は就職に直接繋がりにくいこと。ただ、林業のことについては詳しくなる印象です。そもそも事業体自身のサイトもあまりないのでネット上での情報収集は難しいです。「林業 年収」で検索すると面白いものが出てくるので、それでもなお林業をしたいと思うかご自分で判断されてください。
ハローワークには探せば林業の求人が結構あります。その中で自分の条件や要望に合うところを探して、良いところがあれば申し込んで見ましょう。条件は事業体によってホントにまちまちなので、比較検討することが重要です。また、日給や月給に幅がある場合、経験無しの場合は多くの所で最も安い金額でのスタートだと考えた方が無難です。以前、優良事業体として全国規模の大会で表彰されている事業体の雇用条件を見たことがありますが、平均よりも少し良いかなと感じた程度でした。
- 各県で行われる森林の仕事ガイダンスに参加する
県ごとに行われる森林の仕事ガイダンスという、林業に関する事業体が集まって説明会をするというイベントがあります 。(森林の仕事ガイダンス|「緑の雇用 RINGYOU.NET」 エリアガイダンスに各県の予定があります) そこには事業体はもちろん、県の担当者や林業雇用機関の担当者など多くの人が集まります。そこで根掘り葉掘り聞いてみましょう。事業体はもちろんなんですが、1番のオススメは林業雇用に関する機関のおっちゃん、おじいちゃんです。この人達は、林業の労働力確保の為に来ているので真剣にそして、ざっくばらんに話しをしてくれます。人によりますが、変な事業体を避けて、比較的まともな事業体を紹介してくれると感じています。就職しても辞めてもらったら困るからか、参加事業体の内部(良い、悪い所)についても話してくれました。また、緑の雇用生がいたらみなさんの力になってくれると思うので様々な聞きたいことをきいてみられてください。
- 気になった事業体を個別訪問
私の場合、就職したい地方は決まっていましたが、具体的な県は決まっていませんでした。なので、周辺4県のガイダンスに参加して来ました。その中で、これは!と思う事業体があったので、後日訪問して、雰囲気などを確認しました。その後、入りたいという自分の意志を伝えて面接等を経て入社、今に至ります。
ふりかえると
ネット上に情報が無いので、自分から行動するしかなかったというのが当時の心境でした。ガイダンスに行くと場所によっては仕事で使用する道具の展示や現場仕事をビデオで見せてくれるところもありました。仕事に対するイメージが膨らみますが、良いところばかりがクローズアップされているし、当たり前ですが悪いところはあまり喋りたがりません。
私は良いところと悪いところを知った上で林業に入ってもらいたいと考えています。
また、森林の仕事ガイダンスは東京、大阪で年1回大規模に行われていて、そこではいつも大盛況だと耳にします。林業に就職・転職を考えている方はぜひ行ってもらい見て聞いて、色々な方と話してもらえればと思います。